越前金津(醫家) 浅野家・ 越前四箇浦宿(醫家) 丹羽家 
越前金津浅野家は、浅野休真(歿年不詳)が福井藩醫で禄三百石で仕えた後、金津での開業から始まる。
この金津醫の浅野休真の子、浅野元夫には三男があったが長男と末の男は嫡子なく早逝する。
二男の仙庵は、越前四箇浦宿の醫家丹羽家(丹羽利慶の養子)に入っていたが、
その仙庵に三男あり、長男の文龍は浅野家を継ぎ福井藩醫となる。
二男の文虎は二十五歳(1764年頃)にして大坂に出、鳥山ッ岳をはじめとする混沌詩社の社友や
在京福井藩儒の清田絢らと親交を持ち、その後朝鮮通信史の迎接役となった山形藩主との関わりから
その転封先の三河西尾藩儒となり三河に移住した。三男の文羆は四箇浦宿にて父、仙庵の丹羽家を継ぐ。
丹羽仙庵の墓碑撰文は、二男の文虎が親交のあった清田絢に依頼したと考えられる。



  越前府中(儒醫) 山室家 
越前府中山室家の始祖正光は丹波の出で越前味真野五分市城主佐々氏の家臣であった。
一時越中富山城下に佐々氏と共に移ったが、あとに再び五分市に帰住し
正光の子と孫の淨祐、淨誓は五分市村長を務めた。良順にいたって府中の蓮尚寺前に出
醫を開業し良順の子、士錦は京師へ遊学し香川修徳に醫を学び、草盧龍に詩を学ぶ。
山室良順の墓誌は上記、浅野仙庵の長男で福井藩侍醫の浅野文龍が撰じ、
そして良順の妻、阿早の墓誌は浅野仙庵の二男の三河西尾藩儒の丹羽文虎が撰じた。
良順の子、山室士錦は鯖江藩儒の芥川思堂の長男、芥川希瞻の墓誌をじ、士錦の墓誌は芥川思堂が撰じた。
また、士錦の嫡養子、山室士廉の墓誌は府中藩儒の松永共平が撰じ、士廉の妻、阿周の墓誌を
松永共平の父で同じく府中藩儒の竹内長孝が撰じた。



  越前府中(儒醫) 田中家 
越前府中の田中家は、豊後臼杵(ブンゴウスキ)の人、田中希尹が府中に永住した事から始まる。
田中希尹は京遊し伊藤仁斎に儒学を、香川修徳に古医方を学び、府中に来遊し藩主の礼遇に応え府中に留まった。
田中希尹の墓誌は、同じく京遊した希尹の三男、田中適所が香川修徳に依頼か?と思われる。
また、田中希尹の長男で越前府中藩醫の田中充庵の墓誌も弟の田中適所が京師で交友のあった芥川家の、
当時、鯖江藩儒になったばかりの芥川思堂に依頼し(適所は鯖江藩儒に芥川を推挙?、撰じたものと考えられる。



  越前三国(醫家) 青山家・ 越前三国(醫家) 杉山家 
青山家の元姓は、越前三国の醫家杉山氏。越前城福に隠居後(青山氏に)改姓し、この地で醫を始業する。
その十世青山常喬の三男、大壯が田中適所↑の養嫡子となり京師の皆川洪園に学ぶ。、
大壯学成り、京師にて従い学ぶ者多し。あと伊勢津藩儒となり田中履堂と號す。無妻無子にて甥(杉山氏)が嗣ぐ。
田中履堂の弟(青山常喬の男)杉山篤信は、城福に生まれ三国の醫家杉山履信(青山本家?)の養嫡子となる。
篤信(豫齋日州)もまた兄田中履堂と同じ皆川洪園に学び、一時帰郷後一家にて京都に移住。
大聖寺宮の御抱醫師に挙され、のちに仁孝天皇、光格天皇の平日拝診御用仰けらる。また同郷三国幽眠とも交友。
篤信の子、杉山信達の弟恭蔵(信文、靖齋)は、伯父の田中履堂の田中家を京師において醫業をもって嗣いだ。



  越前府中(儒醫) 鳥山家 
鳥山家は代々攝津吹田村で醫を業とする家であったが、元和年間に鳥山長庵が越前府中に移住し醫業を開いた。
その子鳥山見庵は、京遊して伊藤仁斎門に入り仁斎の長子東涯とも親交を持つ。
見庵の長子、宗元や五男の宗成(ッ岳)も上洛し伊藤東涯に学び、あとに東涯は鳥山見庵の墓碑銘を撰じたが、
碑銘は建立される事なく府中の鳥山家菩提寺に軸物として残された。(軸には山室士錦の後年の書入が有り)
鳥山ッ岳は宝暦年間に歳五十余にして府中の兄、宗元の鳥山家宗家とは別家を立て大坂に移住。
片山北海の「混沌社」においての最長老となり、その詩才から上方で高名を博し当時の幾多の文人と交友する。
ッ岳は養嫡子に越前の四箇浦宿の小塙氏の三男、俊達を迎え大坂鳥山家を嗣ぐが、その後断家。
越前府中の鳥山家宗家も断絶と考えられる。尚、俊達の弟、小塙氏の四男は府中の長尾家(権四郎)を嗣ぐ。
従って、大坂鳥山家と府中長尾家、そして越前四箇浦小塙家は縁戚にあたる。


  越前府中 長尾家 
元朝倉氏家臣。朝倉氏滅亡後府中に漂泊時に府中藩主本多伊豆守の勧めによりその家臣となる。
長尾家からは府中藩儒醫の山室家へ、入養嫡子、入嫁と関係が深し。
あとに長尾家は大坂鳥山家と同じ越前四箇浦小塙家より養嫡子を迎える。



 ● 越前鯖江藩儒 芥川家

 ● 越前府中藩儒 竹内家





−−−−−参考文献−−−−−

若越墓碑めぐり
混沌社の長老 鳥山ッ岳翁小傳
越前人物志 −中巻−
越前町史 上巻・下巻
福井県南條郡誌
武生市史 資料篇 人物・系譜・金石文
武生 たけふ歴史探訪(上巻)(中巻)
芥川氏系譜(デジタル・データ)



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